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意外と知らない?スピネルの魅力と価値

スピネル

ある時はジュエリーとして。ある時は腕時計などの装飾として。あるいはパワーストーンとして。
様々なシーンで活躍しているスピネルを一度は目にしたことがあるかもしれません。
そのカラーバリエーションの豊富さ・光沢のある美しさから、ジュエリーファンからはスピネルは大変人気の高い宝石です。
しかしながら、実は誤った認識が広がっていることも事実。例えば「安く買いたたかれる石」ですとか、「どこにでもある石」などといった誤認がこれに当たります。
スピネルは、需要はもちろんのこと、天然の美しい逸品が出づらいことから、高額で売買されることが少なくない宝石です。
この記事では、知っているようで知らないスピネルについて解説いたします。

1. スピネルとは?

 

スピネル

 

① DATA

鉱物名:スピネル
和名:尖晶石(せんしょうせき)
色:無色,赤,青,緑など
モース硬度:7.5-8
劈開:なし
産地:ミャンマー,スリランカ,中央アジアなど
宝石言葉:内面の充実,安全
 

② 歴史

スピネルの歴史をさかのぼることは、きわめて困難です。
なぜなら、有史以来スピネルを人々が愛でてきた軌跡は見いだせますが、長らくルビーと混同されていたためです。

ルビーはコランダムという鉱物に微量のクロムが含有されることで赤みを帯びます。ちなみに赤以外のコランダムはサファイヤになります。
特徴は後述しますが、スピネルもまたクロム由来で赤く色づき、かつルビーと鉱床(こうしょう)を同じくすることから、見分けがつかなかったのでしょう。

時代が下ると鉱物の化学的な組成が解明されていき、1783年、ようやくルビーとスピネルが切り離されることとなりました。フランスの科学者ロメ・ドゥ・リール氏の功績によるものです。
リール氏は結晶の面角に着目することでルビーとスピネルは別の鉱物であることを発見していますが、確かにスピネルは完全な八面体をしており、シャープな結晶構造を持つことが特徴です。その鋭さすら感じさせる結晶から、ラテン語で「棘(とげ)」を意味するspinaから名前が採られることとなりました。
ただ、火花を意味するギリシャ語「スピサ」からちなんでいる、という説もあります。

なお、長い間ルビーとスピネルが混同されていたことを象徴するエピソードには事欠きません。
例えば、歴史上で重要な役割を担っていた「ルビー」が、実は「スピネル」だった、と言ったものが挙げられます。
最も有名な逸話はイギリス王室の「黒太子のルビー(ブラック・プリンス・ルビー)」です。14世紀のイギリス王朝皇太子エドワードが、スペイン王から譲り受けた王冠に取り付けられた170カラットもの大振りのルビーが、実はスピネルでした。
イギリス王家で代々受け継がれてきた352カラットの「ティモールルビー」、15世紀のフランスはブルターニュ公フランソワ2世妃マルグリットが所有していたドラゴンシェイプの「コートドブルターニュ」などもその典型です。

こういった背景から、一時は「まがい物」のような扱いをされていた過去もありますが、スピネル(特にレッドスピネル)もまたきわめて高い稀少性を持つこと。加えてスピネルそのものの美しさによって価値が見直され、今ではジュエリー界を代表する人気宝石の一つとして君臨します。

スピネル

 

③ 産地

前述の通りスピネルはルビーと鉱床を同じくします。
このことからもわかるように、産地は限定的。

代表的な場所はミャンマーでしょう。ちなみにミャンマーはルビーの一大産地でもあります。
最も美しく、最も価値があるレッドスピネルが産出されると話題の土地です。
また、色味が強く高評価の個体が採掘されることから、ミャンマー産スピネルは価格が高くなります。

次に有名な産出地として、スリランカが挙げられます。
スリランカで採掘されるスピネルは、「レッドスピネル」と呼ばれるほどの赤みは少ないものの、鮮やかなピンクスピネルがよく発見されます。
スリランカでは、きわめてレアなスピネルが採れることでも有名です。
例えば、近年ではほとんど見られなくなったものの、世にも珍しいホワイトスピネル。
そしてキャッツアイやカラーチェンジ、スター効果などと言った、宝石の珍しい特殊効果を有した個体は、多くがスリランカ産となります。

それ以外の産地を見てみると、中央アジアでも美しいピンクスピネルが見られます。
アフガニスタンとタジキスタンの国境に位置するバダフシャーンは古代「バラシア」と呼ばれていたため、この地で採れるピンクスピネルはバラススピネルとして付加価値がついています。

ルビー同様、ユーラシア大陸に産出が集中していましたが、近年ではアフリカ周辺地域でも産出が確認されています。
例えばマダガスカルやタンザニアです。
とりわけタンザニアは2000年代に入ってから良質なスピネルが発見された土地で、新しい産出地として注目度が上がっています。

なお、スピネルは赤やピンクの他にもカラーバリエーションが豊富ですが、黄色は天然の個体はなく、合成石でのみ再現されます。

スピネル

 

2. スピネルの特徴

スピネルは言ってみれば変成岩です。変成岩は大地の熱と圧力によって何らかの作用を受けた鉱物を指し、マグマによって形成される火成岩や石灰岩(大理石含む)、地下深部で生成される片麻岩などから採掘されてきました。

結晶形が一般的には八面体で、双晶(そうしょう)です。
ちなみにこういった結晶構造を「スピネル型」と呼びます。フェライトやサーミスタなど電子材料に用いられる化合物がこの構造をとっていますが、スピネルそのものではありません。
スピネルの結晶は明瞭であるため、カッティングをせずとも美しいプロポーションを獲得していることも魅力ですが、一方で屈折率が高いため、やはり緻密にカットすることでさらに美しい輝きを引き出せると言えます。

結晶構造以外のスピネルの特徴としては、何度か言及しているようにカラーバリエーションにあります。
純粋なスピネルは無色となりますが、含有成分によって赤、ピンク、青、緑、黄色などに色づき、またその濃淡も様々です。
この中で最上の価値を持つのが赤いスピネルです。「レッドスピネル」の通称で出回っており、かつてはルビーと間違えられて重宝された歴史もありましたが、現在ではもちろん「レッドスピネルだから」といった需要を集めております。
この赤はルビーと同じくクロム由来であることは前項でご説明した通りですが、レッドスピネルの方が濃く深みがあり、純粋な真紅を楽しめると言われています。

なお、スリランカ産など一部個体に留まりますが、特殊効果を有するスピネルも見られます。
例えばキャッツアイ効果。クリソベリルやオパールなどが有名ですが、針状のインクルージョンによって猫の目のような光線を放つ現象です。また、光源によって色味を変えるカラーチェンジや、同じく針状インクルージョンによって星型の光が浮かび上がるスター効果などを有するスピネルも稀に存在します。
ただ、こういったスリランカ産の特殊効果スピネルは褐色強めの若干渋い色合いが多く、宝飾品と言うよりかはコレクターズアイテムとして重宝されている形です。

3. スピネルの価値

スピネルは色味によっては安価なものもあり、ルビーと比べると見劣りしてしまうでしょう。
しかしながら上質なレッドスピネルとなると別格です。その稀少性はルビーと肩を並べるものもあり、また大粒で上質なものともなると、ほとんど産出されていません。
無処理で色が濃く鮮やかでインクルージョンがきわめて少ないレッドスピネルともなると、1カラット数十万円で取引されることもあります。

レッドスピネル以外ですと、ブルーのスピネルが高値です。ブルースピネルの中にはカラーチェンジ効果を持つものがあり、根強い人気を誇ります。

ブルースピネル

 
次いでピンクや鮮やかなオレンジ、ライラックカラーの価値が高いと言えます。
 

 
特に鮮やかなピンクスピネルはホットピンクと呼ばれ、上質なピンクサファイアを凌ぐような美しいものもあります。
 

 
ちなみに漆黒のブラックスピネルもあります。他のカラースピネルとは全く異なる妖艶な魅力があり、近年人気が急上昇。現在はレッドスピネルやコバルトブルースピネルに比べると安価ですが、宝飾市場は需要の高さは相場を決定づける要因の一つのため、今後の動向から目が離せない石の一つです。

なお、人工的に生成された合成スピネルも存在しますが、こちらは宝石と言うよりかはビーズや電子部品などの産業用途で用いられています。

4. まとめ

よく出回っており、身近なものにも使用されているのに意外と知らないスピネルの魅力や価値についてご紹介いたしました。
スピネルはルビーのイミテーションのように扱われていた時代もありますが、実はルビーのように稀少性が高く、とりわけ上質な無処理のレッドスピネルの市場価値はルビーをも凌ぐ場合があること。レッドスピネル以外にもコバルトブルーやオレンジ、ブラックなど、含有する成分によってカラーバリエーションがあること。中にはキャッツアイやカラーチェンジなどの特殊効果を持つものがあることをお伝えできたでしょうか。
身の回りのジュエリーに使われたスピネルが、実は思わぬ価値を持つかもしれません。使っていない製品がある場合は、ぜひ当店グリーバーにお持ち込みください!

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閉店致しました。
長らくのご愛顧
ありがとうございました。


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