パワーストーンとして人気のラブラドライトとは?
グレーがかった石から、虹色にまばゆい光彩を発する「ラブラドライト」という石をご存知でしょうか。
準貴石としてリングやネックレスなどといったジュエリー・アクセサリーにも用いられていますが、「月や太陽、宇宙を感じられる」「形而上学的な意識を持てる」「信念を貫く」などと言ったパワーストーンとしての効能も持つと名高い石です。
確かにラブラドライトのシックながら神秘的な虹彩を眺めていると、なんだか不思議な気持ちになってくるものです。
この記事では、そんなラブラドライトの特徴などをご紹介いたします。
1. ラブラドライトとは?
① DATA
鉱物名:ラブラドル長石
和名:曹灰長石(そうかいちょうせき)
色:淡青緑~淡青、青灰色
モース硬度:6~6.5
劈開:あり
産地:カナダ、メキシコ、アメリカ、マダガスカル、フィンランドなど
宝石言葉:思慕
② 歴史と産地
ラブラドライトの鉱物名はラブラドル長石です。
1770年、カナダのラブラドル半島で産出されたことからこの名前が付けられました。
ただ、詳細は後述しますが、ラブラドライト自体は曹灰長石と呼ばれる斜長石の一種で、ガラス質ではあるもののダイヤモンドのようにまばゆい光を放つ、といった類の石ではありません。
しかしながらラブラドライトを特徴づける虹彩が、特別な存在へと押し上げることとなりました。
そう、ラブラドライトの何よりの特徴は、イリデッセンス(虹彩)にあります。遊色効果などとも呼ばれ、オパールや真珠などにもみられる現象ですね。
結晶が層状構造になっていることから「虹色」とも称される多彩な色をゆらゆらと放っており、青みがかったシックなラブラドライトの独特な美しさを強調します。ラブラドライトの虹彩はイリデッセンスとは呼ばれず、ラブラドレッセンスと名づけられたことからも、他の鉱石とは一線を画していたことがおわかりいただけるでしょう。
なお、現在ではカナダの他にメキシコ、アメリカ、マダガスカル、フィンランドなどでも産出されています。
とりわけフィンランド産は特徴的。ユレマと呼ばれるフィンランド東南部の村で採掘されているのですが、石そのもののカラーが黒に近く不透明で、ラブラドレッセンスとの対比が妖艶かつ美しいと話題です。カラーテーブルをスペクトルと言うことから、ラブラドライトの中でもユレマ産で、かつ前述した特徴を持つ石は特別にスペクトロライトと呼ばれ親しまれています。
このように産地による違いや色味が多岐にわたっており、石一つ一つの個性が豊かなことから、コレクターズアイテムとしてもとても高い人気を誇ります。
③ 特徴
ラブラドライトは曹灰長石です。ケイ酸塩鉱物にグルーピングされ、ナトリウムの含有量が多いことが特徴です。
火成岩や変成岩に含まれており、決して稀少性が高い石、というわけではありません。地色もグレーや青、青緑などが多く、ダイヤモンドなどと比べるとやや渋めかもしれません。
しかしながらラブラドライトが重宝される理由。それは、イリデッセンス(ラブラドレッセンス)を持つことに他ならないでしょう。
前述の通り、オパールや真珠などにも見られるイリデッセンス(ラブラドレッセンス)は、光の当たり方によって虹彩を放ちます。
ラブラドライトは地色が暗めなため、その効果がより目立つともいわれてきました。
このラブラドレッセンスの秘密は、その構造にあると言われています。ラブラドライトは光学現象の一種で、結晶のある面に金属鉱物によるきわめて薄い層が並行しており、そこに光が当たって特異な反射を示している状態です。
どのラブラドライトもこの反射を示すというわけではありません。層の間隔や、マグマが冷却する過程を経て実現される、地球の神秘のようなものです。
ただ、こういった構造上、クラックやインクルージョンは多め。ジュエリーとして加工される時は、ワックスやオイル、樹脂などで含浸処理が施されることが少なくありません。
なお、稀に地色が白いラブラドライトが産出されます。
通常のラブラドライトとはまた違った清楚で気品溢れる美しさを放っていることから、大変人気の高い石となりますが、「ラブラドライト」の名前ではなく、誤ってブルームーンストーンとして販売されているケースもあります。
また、漆黒のブラックラブラドライトなどもありますが、産出量の少なさから、市場に出回っているものだとエンハンスメントされていることも少なくありません。
ラブラドライトの見た目以外の特徴としては、衝撃に弱く、劈開(へきかい)があるため一定方向に強い力が加わると、簡単に割れてしまうというところです。
また、直射日光によって退色してしまうケースもあり、取扱には注意が必要です。
お手入れをする時は超音波洗浄などは避けましょう。
汚れが気になる時は、中性洗剤を入れたぬるま湯に漬け、毛先が柔らかい歯ブラシなどで優しく洗ってあげます。
洗浄後はしっかりとすすぎ、やわらかいタオルで水分が残らないようやさしく拭いてください。
2. パワーストーンとしても人気のラブラドライト
ラブラドライトは準貴石の扱いとなりますが、パワーストーンとして特別な存在感を放っています。
それは、ラブラドレッセンスなど、見た目によるところが大きいでしょう。
と言うのも、ラブラドライトは月や太陽を象徴する、あるいは宇宙の神秘を感じられる石としても語られているためです。ラブラドレッセンスが放つゆらめきは、宇宙空間の星々を彷彿とさせる、と言うのです。
古くから「邪悪なものを取り払う」「呪いを打ち消す」などといった魔除けの役割としても用いられているのも、こういった神秘性が大きいのかもしれません。
また、「多様性を尊重する」「自由のシンボル」と言われることもあります。
これは、ラブラドレッセンスがブルー、グリーン、レッド、ゴールドなど、多彩な色を放つことが関係しています。
このようにラブラドライトの、派手さはないものの人の心に染み入るような魅力は、心理的なヒーリングをももたらしていると言えます。
3. まとめ
アクセサリーとしてはもちろん、パワーストーンとしても人気のラブラドライトについて解説いたしました。
ラブラドライトとは1770年、カナダのラブラドル半島で産出されてこの名の由来となったこと。ラブラドレッセンスと特別に呼ばれる遊色効果で、美しい虹彩を放つことが何よりの特徴であること。その見た目から、太陽や月、宇宙など神秘的なモチーフに喩えられることなどをお伝えいたしました。
人と違ったアクセサリーが欲しい時。癒し効果が欲しい時。ぜひラブラドライトに触れてみてはいかがでしょうか。