ロンドンブルートパーズの魅力
トパーズは含有する成分によって多彩なカラーを持つ鉱石です。
どの色もそれぞれ個性があって素晴らしいですが、「人気」という面でみるとシェリー酒のような色合いのインペリアルトパーズ、フェミニンなピンクトパーズ、そして今回ご紹介するブルートパーズが挙げられるのではないでしょうか。
ブルートパーズはその名の通り青色のトパーズを指しますが、さらに濃淡によって三つに種類分けがなされます。中でも最も濃く深い青を持つのがロンドンブルートパーズとなります。
この記事では、ロンドンブルートパーズについて解説いたします。
ロンドンブルートパーズとは
① DATA
鉱物名:トパーズ
色:青
モース硬度:8
劈開:あり
原産国:ブラジル、アフガニスタン、ミャンマー、オーストラリアなど
宝石言葉:友情・誠実・潔白
② 概要
トパーズはケイ酸塩鉱物で、含有する成分によって色味を変えます
産地の明確な特定はできませんが、一般的にフッ素を多く含む個体が産出される土地ではF-typeに分類されるトパーズが採れ、それらはピンクやブラウン、あるいは無色透明などに色づいています。ちなみにケイ酸塩とアルミニウム、そして水酸基(OH、ヒドロキシル基)と呼ばれる成分を含むトパーズが採れ、OH-typeに分類され、「インぺリアルトパーズ」と呼ばれるきわめて稀少な個体となります。
ブルーに色づいたトパーズはF-typeとなりますが、色の濃淡によって名称を変えます。
最も濃く色づいているものがロンドンブルートパーズです。紺碧に近く灰色がかっており、角度によっては深緑のような色彩を放つものもあります。
なお、ロンドンでトパーズが採れるわけではありません。ただ、ロンドンの空のように美しい色をたたえているからこの名称が付けられたのでしょう。もっとも、ロンドンは一年を通して快晴は少ない地域でもありますが。
そしてロンドンブルートパーズよりも青の色味がやや淡くなるものはスイスブルートパーズ、さらに淡くなるものはスカイブルートパーズと呼ばれています。とは言え、現在市場に流通しているどのブルートパーズも、天然の色を保っていることはほとんどありません。ブルーの色味のトパーズは、ほとんどが放射線処理や加熱処理など、人工処理(トリートメント)によって着色されています。
天然ものが全くないかと言うとそういうわけでもありません。ジンバブエやアメリカ テキサス州の鉱山から青みがかったトパーズが産出された記録があります。ただ、記録になるほど稀少性の高いものであることは間違いありません。
ロンドンブルートパーズの価値
ロンドンブルートパーズは前述したスイスブルートパーズ、スカイブルートパーズの中では高い人気を誇りますが、流通量も多い為、高額というわけではありません。
もちろん天然の大粒ロンドンブルートパーズが産出されたとしたら、あるいはオークション級となるかもしれません。
しかしながら多くの製品が人工処理を施して作り上げることができるため、ある程度量産できてしまうことから、ジュエリー製品としては低~中価格帯となっております。もちろんイミテーションではありませんので、トパーズとしての価値が低いという話とはまた違ってきます。
また、宝石の人工処理技術は1970年代頃から急速に発展したのですが、それ以前は「お手頃価格で購入できるトパーズ」と言えば、茶色や黄色ばかりでした。青ともなれば超高額。実際、今なおサファイヤやトルマリン、アクアマリンなど青系のジュエリーはきわめて需要が高く、価格帯も比較的高くなりがちですね。処理技術の発展によって、私たちはより身近にブルートパーズを感じることができるようになりました。
なお、ブルーカラーが人気であることはトパーズも同じですので、その需要に比例した相場が付けられることとなります。ブルートパーズは青が濃いロンドンブルートパーズが一番人気です。
着色方法は、主に放射線処理が用いられます。
無色のトパーズにX線や放射線といった人工光源を照射すると、結晶内部で構造に歪みが生じ、本来石が吸収する光の波長を変えることとなります。ただ、この段階では緑~茶色のような発色となるため、その後さらに加熱処理を施すことが多いです。この行程を経ると肉眼で石を見た時、本来持っている色とは異なる色味を視認することができるのです。
この手法はカラーダイヤモンドなどにも用いられています。また、経年で色褪せてしまった場合でも、同様の処理を行うことで色味を復活させることができます。ただしブルートパーズは光に強く、退色する心配はあまりないと言われています。
ちなみに天然ブルートパーズはほぼない証として、宝石鑑別書には一律で人工処理を施した、という旨が記載されます。これはロンドンブルートパーズであろうとスイスブルートパーズであろうとスカイブルートパーズであろうと同一です。
人工処理を施されたロンドンブルートパーズは、元来トパーズが劈開を持つことも手伝って、一定の力が加わると破損してしまう場合があります。また、モース硬度は高いですが、ダイヤモンドなどトパーズよりも固い製品とぶつかってしまうと傷ついてしまいます。
そのため取扱には気を付け、保管する際は他のジュエリーとぶつかり合わないよう配慮しましょう。
また、汚れが気になる時は石鹸とぬるま湯を用いて優しく洗うことがおすすめです。蒸気に当てたり、超音波洗浄を使ったりするのはご法度です。
まとめ
ロンドンブルートパーズについて解説いたしました。
ロンドンブルートパーズは青色トパーズの呼称で、淡い色合いとなるとスイスブルートパーズ、さらに青が薄まるとスカイブルートパーズの呼び名に変わること。基本はトパーズであるためケイ酸塩鉱物の一種となり、その特性は他トパーズに準じること。とは言え青色はトリートメントによって人為的に発色させたものがほとんどで、お手頃価格で美しい青のジュエリーを楽しむのにうってつけであることをご理解いただけたでしょうか。
なお、文中でも述べたように、万が一にも人工処理が施されていないブルートパーズがあったとしたら、「記録」に残るほどの価値を持つ可能性があります。
また、そうでなくとも青色のジュエリーは大変人気が高い色合いとなります。使っていないものがあったら、ぜひ一度当店グリーバーに、査定に出してみてはいかがでしょうか?