ジュエリーアクセサリーでどうしても気になる傷。特に日ごろずっと身に着けていて、物に触れる機会の多いエンゲージリングなどはより気をつけなくてはいけませんね。
天然資源の中でも最もモース硬度が高いと言われているダイヤモンドでも、傷ついてしまうことがあります。
傷がついてしまったダイヤモンドの買取価格は大幅に下落してしまうのでしょうか。
この記事では、コンディションの悪いダイヤモンドジュエリーが買取価格に与える影響と、良いコンディションを保つためのお手入れ方法をご紹介いたします。
1. ダイヤモンドに傷はつくの?
モース硬度10と、数ある天然資源の中で最も硬いと言われているダイヤモンドは、基本的には傷つきづらい宝石です。
しかしながら傷が絶対につかないわけではありません。
傷で多いケースは、ダイヤモンド同士をぶつけてしまった時。
ダイヤモンドの研磨にはダイヤモンドが使われているように、硬度が同一同士、ぶつかるとお互いを傷つけ合ってしまいます。
表面に傷がついたり、石の内部に根のようなスジを作ってしまうこともあります。
また、購入した時からもともとヒビや傷が入っていた場合、ダイヤモンド同士でなくても、何かの衝撃や振動で傷が広がってしまう可能性があります。
ダイヤモンドをカット・研磨する際に傷がついたり、もともとインクルージョン(内包物)として割れ目が入っていたりすることはダイヤモンドが天然の鉱物である以上珍しくありません。
もちろん肉眼では見えない傷も多いですが、買取査定時にはルーペなどの拡大鏡を使って鑑定を行うので、無視できないものとなります。
さらに、傷よりも怖いのが割れてしまうことです。
実は、ダイヤモンドは硬いのに割れやすいのです。
これは、靭性が低い、という特性がダイヤモンドにあるためです。
靭性とは「外力によって破壊されやすいか」という指標です。
この靭性が低い石は脆いということが言えます。
ダイヤモンドよりモース硬度が低いルビー、サファイヤ、ヒスイなどはダイヤモンドによっていとも簡単に傷つけられてしまいますが、靭性はダイヤモンドより高いためちょっとやそっとでは割れません。
なぜダイヤモンドの靭性が低いかと言うと、その結晶構造に原因があります。
ダイヤモンドの結晶は正八面体になっています。分子の相互結合がとても強く、そのためモース硬度が高くなります。
しかしながら、八面体の結晶の表面に沿って四つ、この結合が緩い部分があります。
この緩い部分は重なっている結晶構造の面と並行に割れやすい、という性質を持ち、これを劈開(へきかい)と呼びます。
この劈開に沿ってハンマーなどで思いっきり力を加えると、劈開面に沿ってスッパリと割れてしまうのです。
ダイヤモンドカットはこの劈開を利用して行われます。
しかし、ハンマーとハンマーの間などにダイヤモンドを挟んで、ゆっくり力を加えたときには、ダイヤモンドはびくともせず、ハンマー側がへこんでしまいます。
あくまで割れるのは劈開面に沿って一定の力を加えた時、となりますが、注意が必要なことに変わりはありませんね。
これはハンマーでなくとも、地面に落としたり何かにぶつけたりしても起こりうることです。
エッジが効いた、鋭いものやとがったものほど割れやすく欠けやすくなります。
また、ダイヤモンドのガードル(外周)付近にフェザー(ダイヤモンドの割れのこと。クラリティ評価に関わる部分)があったり異なるフェザーが隣接していたりする場合は要注意です。
2. ダイヤモンドのコンディションが買取価格に与える影響
金やプラチナなどは傷がついたり変形していたり、または割れていることがあっても素材の価値は変わりません。
鋳つぶせば貴金属のみを取り出し、再加工することができるためです。
ダイヤモンドは違います。
傷や割れはダイレクトに買取価格に影響を与えます。
ダイヤモンドの評価は4Cが基準となります。
カット、カラット、カラー、そしてクラリティです。
傷がついているとこのクラリティのグレードが下がってしまい、価値も併せて下がります。
また、割れた場合はカラット数がロスするため、これが結構大きな痛手となります。
カラットとはダイヤモンドの重さの単位で、ダイヤモンドの価値の最も大きい部分を占めます。
これが減ってしまうと、買取価格は大幅に減少せざるを得ません。
傷や割れが目立つためリカットする場合はさらにカラット数が減ってしまうことになり、査定時点でその減る分のカラット数を計算した査定額を提示される可能性もあります。
ハリーウィンストンやカルティエ、ブルガリといった有名ブランドの人気ダイヤモンドジュエリーであれば付加価値がついていても、
傷や割れはマイナス評価となります。
そのため、日ごろからダイヤモンドの取り扱いには気をつけたいものです。
3. より高額買取のために!ダイヤモンドの取り扱いで気をつけたいこととお手入れ方法
傷や割れ・欠けが原因でダイヤモンドの買取価格を落とさないためには、日ごろのダイヤモンドの取り扱いと、マメなお手入れが重要です。
気をつけたいポイントと、具体的なお手入れ方法をご紹介いたします。
① ダイヤモンドの取り扱いで気をつけたいこと
ダイヤモンドの取り扱いでは、何よりも強い衝撃に気をつけましょう。
力仕事や、アウトドアシーンではダイヤモンドジュエリーは身に着けないようにします。
また、既に割れや欠けが入っているダイヤモンドはそこから新たな瑕疵が生じ、コンディションがもっとひどくなることがあります。
こういったダイヤモンドジュエリーは、瑕疵に気づいた時点で頻繁な使用を止めることが無難です。
衝撃の他に気をつけたいこととして挙げられるのが保管方法です。
何個かダイヤモンドジュエリーを所有していて、それを一緒に保管している場合は注意が必要です。
ダイヤモンド同士がぶつかり合って、傷つけあってしまう可能性があります。
これは、ルビーやサファイヤといった、他の宝石類にも言えることです。
ダイヤモンドジュエリーは専用ケースに、一つずつ保管してください。
傷や割れ・欠けがあまりにも目立つ場合は、修繕できることもあります。
ただし、リカットとなった場合はカットのロスとなってしまうこと。また、もともとのフェザーなどを伝えておかないと、誤ってそこに衝撃が加わってしまい割れる要因となる、という可能性もゼロではありません。
できればダイヤモンド鑑定書を付属して修繕に出しましょう。鑑定書には、プロットとしてインクルージョンなどの情報が記載されている場合があります。鑑定書がない時は、フェザーの位置などを担当者に伝えてください。
また、メーカーの正規のメンテナンス以外で修繕が行われた場合、非純正品と見なされることもあります。メーカーによってはそういった製品のアフターサービスを断るところもあります。
なお、修繕ではなくリフォームとなってしまうと、ブランドとしての価値は落ちてしまいます。
もし買取価格を上げるためだけに修繕するのであれば、あまりおすすめはできません。
② ダイヤモンドジュエリーのお手入れ方法
ダイヤモンドのコンディションを保つのに日々のお手入れは欠かせません。
まず、ダイヤモンドに限りませんが、一日身に着けたジュエリーはその日のうちにやわらかい布で優しくぬぐいましょう。
ダイヤモンドは親油性が高く、皮脂汚れが付着しやすいと言う特性があります。
油脂が付着すると曇ってしまい、ダイヤモンド本来の輝きが損なわれてしまいます。
ジュエリー専用クロスがベストですが、セーム、使い古したTシャツなどを用いて丁寧に拭いてください。
また、曇りが気になる時、または定期的に洗剤を使って洗浄することも望ましいです。
洗浄には中性洗剤、使い古した歯ブラシ(毛先のやわらかいもの)、やわらかい布を用意します。
ボウルなどにぬるま湯を張り、そこに少量の中性洗剤を入れ混ぜ合わせます。
その中にダイヤモンドジュエリーを漬け、歯ブラシでやさしく汚れを落とします。
ダイヤモンドの爪の部分は特に汚れがたまりやすく、放置していると土台が変色したり肌荒れの原因となったりします。磨いてあげましょう。
また、汚れがひどい時は中性洗剤を混ぜたぬるま湯に一日程度漬け置きするとはがれやすくなります。
その後、きれいな水に交換し、ダイヤモンドジュエリーについた洗剤をよくすすいでください。
しっかりすすいだ後はやわらかな布で水分を拭い、しっかり乾かします。
ダイヤモンドは水をはじきますが、土台の貴金属は合金された素材によっては変色や錆びの原因となる場合もあります。ドライヤーの冷風などで水分を飛ばしても良いでしょう。
なお、洗浄の際に気をつけたいのは、ゴシゴシこすらない、ということ。
歯ブラシ程度ではダイヤモンド自体に傷がつくことはありませんが、土台が擦れて傷ついたり、メレダイヤなどが取れてしまったりする原因となります。
また、もともと爪が緩んでいて、触るとダイヤモンドがグラグラ動いてしまうような状態のものの洗浄は止めておきましょう。とれてしまって、そのまま無くしてしまった、などという事態になったら目も当てられません。
爪が緩んでいる場合には、修繕が必要となります。
4. まとめ
ダイヤモンドの傷や割れ・欠けについて。また、そのコンディションが買取価格に与える影響。そして良好なコンディションを保つために日々気をつけたいことやお手入れ方法をご紹介いたしました。
ダイヤモンドは傷つかない、と言われますが、実際は傷つくこともあり、何よりも割れてしまったり欠けてしまったりしやすいということ。コンディションはダイレクトに買取相場に影響を与えるため、傷や割れ・欠けを作らないよう日々気をつけるということをおわかりいただけたでしょうか。
また、ダイヤモンドジュエリーの日々のお手入れも、上質なコンディションのためには欠かせません。
なお、当店グリーバーでは傷ついたり破損したりしているジュエリーであっても買取実績を豊富に持っている、と自負しております。
傷や割れが気になるダイヤモンドジュエリーも、ぜひ一度持ち込んでみてくださいね。