金メッキを徹底解説!金メッキの目的や買取方法など
金メッキは安価に金の色味を楽しめるジュエリーの表面処理加工です。酸化による錆びを防いだり電気・熱をスムーズに伝導させたりするために、電子部品やメガネ、食器などの日用品にも利用されています。
文字通り金が使われていますが、金メッキ製品を売却することはできるのでしょうか。
この記事では、金メッキとはどのようなものか。また、金メッキ製品の買取についてご紹介いたします。
1. 金メッキとは?
まず、金メッキとはどのようなものかを解説いたします。
① 金メッキの歴史と目的
金メッキとはある金属の上から、金を貼り付けた加工法の一つです。
メッキは滅金が語源で、現在は漢字で鍍金と書かれます。英語ではPlatingと言います。
日本では、古墳時代の遺跡から金メッキが施された副葬品が見つかっており、さらに時代が下っていくと仏具や装飾品、調度や建物の金具などに用いられてきたことがわかっています。
それは日本だけではありません。古くから世界各国の人々にとって金メッキは身近な装飾技法でした。
金メッキの目的は金の輝きを安価に楽しむことにあります。
「金製品」であれば、銀や亜鉛などで合金されているとはいえ、金の含有量が高く、それに応じて価格も高くなります。
しかしながら金メッキは別金属の上に薄く金を貼り付けたものであるため安価であり、手軽な装飾品として親しまれてきました。
また、金は酸化せず、腐食や変色に強いです。そのため別金属に発生する錆びを防止することもできます。
さらに熱・電気伝導率の高さから、現在ではコンピュータの半導体や基板といった産業用途としても幅広く用いられています。
② 金メッキの刻印
金同様、金メッキ製品にも刻印があります。
K18GPといったように、メッキに使われた金合金の品位(含有率、純度)+GP(ゴールドプレート)といったものが一般的です。
この他にGEP(Gold Electro Plated。電気メッキのこと)、HGE(Hard Gold Electro plated、硬質電解メッキ)などメッキ方法によって使い分けられた刻印もあります。
刻印がない、または薄くて見えなくなってしまった、といった場合は、以下の方法で金と見分けることができます。
③ 金メッキと金の見分け方
金と金メッキの見分け方は、まず重量です。
金は重量があるため、ずっしりと重く感じるでしょう。一方の金メッキ製品は軽量です。
また、金メッキは下地にニッケルを利用することが多いです。
そのため、磁石を近づけて反応すれば金メッキの可能性が高くなります。
年式の古いもので過度に変色している場合も、金以外の素材と考えられます。
④ 金メッキの加工方法
金メッキにはいくつかの加工方法がありますが、最もポピュラーなものは電気メッキ法です。
これは、メッキ溶液の中で金素材に別金属を電着させるものです。
メッキ液にプラスとマイナスの電極を入れ、その間に電流を流すと、別金属の表面に金属イオンの還元反応(電子を得る反応)が生じます。
メッキは電気のマイナス極にくっつく性質があり、メッキ液の中の金属イオンがプラスであるので、金がひきつけられる、という仕組みです。
金をメッキする前に銅メッキやニッケルメッキを下地として施し、密着性と光沢感を高めます。
ただ、この電気メッキは摩耗に弱く、高コストというデメリットがありました。
また、下地の銅やニッケルも、金属アレルギーの原因となってしまいます。
そこで近年、PVD(Physical Vapor Deposition)と呼ばれる、物理的手法による金メッキ方法が開発され、現在普及中です。
これは、真空中で高電圧を加え、イオン化させた金を別金属に照射し、蒸着させるものです。
下地を必要とせず、密着性や耐摩耗性が格段に上がりました。
また、PVDはガラスやプラスチックといった金属以外の素材にも金メッキを施すことができます。
⑤ 金張りとは?
金メッキとよく混同されるのが金張りです。
ゴールドフィールドとも呼ばれます。
金メッキと同様に別金属に金を貼り付ける加工となりますが、金メッキが薄い金の膜で形成しているのに対し、金張りは厚みのある金プレートを貼り付けるものです。
表面のみの加工と言うよりも「板」で、ベースメタルを熱や圧力によって囲むように加工します。
このプレートにはK14、K18といった金合金が使われますが、全体の重量の5%以上合金が使用されたものをゴールドフィールド、5%に満たないものはロールドゴールドと呼ばれ、後者は金張りには当たりません。
刻印は14KGFなど、合金の品位+GF(ゴールドフィールド)といった表記となります。
また、14/20GFとし、全体の1/20(5%)はK14、といった意味を持つ金張り刻印も存在します。
当然ながら金の含有量は金メッキよりも高く、価格も上がりますが、金製品に比べると安価なため、こちらもカジュアルなジュエリーなどでよく使用されています。
2. ジュエリーや時計など、金メッキ製品は買取してもらえる?
金メッキは別金属に薄い金を貼り付けたものです。
そのため、使用されている金は微量で、金素材の価値だけで高額買取は難しくなります。
大量に持ち込む、店頭に持ち込む(金メッキ製品の宅配・出張買取等は受け付けていない場合がある)といった場合など、条件付きで買取するお店はありますが、二束三文と言っていいでしょう。
とは言え金メッキ製品でも売りやすい、ものによっては比較的高めの買取が望めるものがあります。
それは、リング・ネックレスといったジュエリーおよび腕時計です。
再販できるコンディションのものなら、「金として」ではなくジュエリー・時計としての査定金額が出るでしょう。
人気ブランドや人気デザイナーが手掛けたものであればその分の付加価値も付きます。
また、土台は金メッキでも、貴石が付いているものは貴石の分が査定に反映されます。
さらに、ブランドの中には、目立つ部分のみK14、K18といった金を用い、目立たない部分を金メッキにする、といったところもあります。
これは公表されていないことも多く、査定に出してみたら実は金が使われていた箇所があった、というケースは存在します。
そのため、金メッキ製品が必ず買取対象になるとは限りませんが、一度査定に出したり、問い合わせしたりすることをおすすめします。
なお、金張りは金メッキより金が多くなるので、買取しているお店がぐっと増えます。
3. 金メッキ製品をより高く買取してもらう方法
金やプラチナといった貴金属に比べると「高額買取」は難しいでしょうが、少しでも高く売るために、以下の方法に気をつけてみてください。
① ジュエリーの金メッキ製品であればジュエリー専門買取店に持ち込む
前述の通り、金メッキのジュエリーはジュエリーとしての価値が評価される可能性があります。
そのため、ジュエリーの買取にノウハウのある店舗を選びましょう。
それ以外のお店だと評価に値するブランドを知らなかったり、きちんとした販売ルートを持たなかったりするために、買取拒否や買い叩かれる、といった事態になりかねません。
きちんとジュエリーについての知識と経験がある専門買取店を選んでください。
② できれば複数品持ち込む
金メッキは金としての価値は低いですが、ある程度の量であれば買い取る、といったお店もあります。
また、金メッキに限らず、一つよりも複数の品を持ち込んだ方が査定額に色をつけてくれる、といったお店も少なくありません。
もし使わない金メッキ製品があれば、集めて一緒に査定に出しましょう。
③ 日ごろからお手入れをする
ボロボロ、皮脂汚れだらけのジュエリーより、ある程度お手入れされたジュエリーの方が高く売れます。
保管状態が良ければ良いほど再販に有利なためです。
金メッキは摩耗に弱く経年で剥がれてしまうこともありますが、加工技術の発達でかつてより格段に傷や摩耗に強くなりました。
とは言えお手入れの際にゴシゴシこすることはおすすめできません。
また、研磨剤を使ったり、目の粗いタオルでこすることもやめましょう。
使用後はやわらかい布で軽くぬぐう。汚れがひどい場合は中性洗剤を使って優しくあらう。水分や湿気に気をつける、などを意識してみてください。
なお、修理業者にメッキを再びかけてもらうこともできますが、メーカー以外の手が加わったものは純正品と見なされず、ブランド品としての価値が落ちてしまう可能性があります。
修繕依頼の際は、一度購入店で相談してみましょう。
4. まとめ
金メッキとはどういったものか。その歴史や用途、加工方法。買取についてご紹介いたしました。
金メッキは、金そのものは微量なため、素材として評価されることは難しくなります。一方でブランド品や再販できるものであれば、比較的高値で買取される可能性は高まります。
使っていない金メッキがあったら、軽くお手入れした後、一度査定に出してみるのも手ですね。