ドイツの名門ジュエラー・ニーシングを語る
間もなく創業150年を迎えるドイツの老舗ジュエラー・ニーシングをご存知でしょうか。
伝統的に培ってきた冶金・鍛造技術とバウハウスの機能美が活きたモダン・デザインを強みに、独異の世界観を展開してきたブランドです。
人と違った、でも上質なジュエリーを求める世界中のセレブリティから愛され続けているニーシングを、この記事ではご紹介していきます。
1.ニーシングってどんなブランド?
ニーシングは1873年に創業しました。
創業地でもあり、現在本社を置くのはドイツ西部のフレーデン。オランダとの国境にほど近いこの地で、ニーシングは創業当時から十字架などの宗教装飾や、ブライダルリングを手掛けてきたと言います。
この歴史からも垣間見られるように、ニーシングは長い伝統の中で冶金・鍛造(やきん・たんぞう)技術を磨いてきました。
冶金とは鉱石から金属を精製・加工することです。鍛造は金属加工の一種で、主に金属を叩いて加工成型する手法です。金属を叩くことで温かみのある仕上がりになることはもちろん、素材の密度が高まり、堅牢性を備えるというメリットがあります。
有史以来、人類は鉱物から有用な金属を取り出し、日用品や装飾品、武器などに利用してきました。
18世紀の産業革命によって冶金もいっそうの量産が可能になったこと。また貴族など特権階級ではない一般市民でも裕福に暮らす人々が出てきたことから、装飾品も急速に普及していきます。19世紀には南アフリカのダイヤモンドラッシュを筆頭に各地で貴石が盛んに採取されたことなどから、煌びやかで華やかなジュエリーが市場に出回るようになりました。
とは言え、今ほどオートメーション化はしていない時代。ジュエリー製造には、高度な冶金・鍛造技術が欠かせなかったことでしょう。
ニーシングはこういった時代の要請を知ってか、創業以来、自社内で冶金・鍛造技術を抱え、ジュエリー製造を担っていました。ジュエリーの冶金・鍛造は高度な職人業はもちろん、美しい素材のために適切な合金素材の選定やブレンドの見極めが重要になってきます。また鍛造も金属の耐久性を高めるために必要な技術ですが、
ニーシングは「世界トップレベルの冶金術」と自負しており、約150年もの間、連綿と美しい貴金属を扱ってきた歴史も、この自負と技術力を持ってきたが故でしょう。
現在、ニーシングではプラチナや9種ものカラーゴールド―「アイボリー」や「クラシックイエロー」、「ウォームイエロー」、あるいはグラデーション等―を取り扱っています。
ニーシング曰く、「ゴールド史上最高のカラーバリエーション」と。合金の配合によってゴールドは華やかにも、上品にも、時に妖艶にもなるものですが、これだけのバリエーション展開を行えるのは長年貴金属の冶金・鍛造技術を磨き込んできたニーシングならではですね。さらに、1982年には純金とプラチナを接合させる特殊技術「ニーシングS」を開発し、特許取得を果たしていることも、同社の技術を語るうえで欠かせないトピックです。
なお、細部まで作り込まれた造形を作り出すのにも、並大抵の技術力や設計力・デザイン力では成しえません。磨きや仕上げも、ジュエリーの美しさを保つうえで非常に大切です。オートメーション化について前述しましたが、今なおニーシングでは熟達した金細工職人を抱えており、彼・彼女らの手作業を経た後、レーザー技術など最先端テクノロジーを用いています。
尚、世界的にも類を見ない独創的なニーシングのデザインや地金のグラデーション技術などは、数人の職人しかその製造方法を知らないという物も多いらしく、まさに伝統と職人の技術あっての歴史とブランド力といえるでしょう。
さらにニーシングのもう一つの特徴と言うと、モダンでハイソなデザインです。ニーシングのデザイン哲学には、バウハウスが息づいています。
バウハウス(BAUHAUS)とはドイツ ワイマールに設立された美術学校です。1919年から1933年までの14年間に渡って工芸や建築、写真などの教育が行われました。
バウハウスの基本精神は「合理主義・機能主義」に基づきます。当時の工業化や大量生産化の時代において、過度な装飾ではなく実用性重視のデザインを基調とします。「形態は機能に従う」という教えの通り、プロダクトにはまず機能があり、そしてその後に形態が決まるといったデザイン哲学となります。
このバウハウスに影響を受けたプロダクトは今も非常に多く存在します。ニーシングもまたその一つで、機能美を訴求し、ユーザーの日常に生きることを前提としたデザイン展開を行っています。
現在、日本国内でのニーシングは株式会社 柏圭が総輸入代理販売を手掛けており、東京や大阪を中心に、全国各地の百貨店などで取り扱いを行っています。
ホームページではジュエリーに関するコラムも発信しており、ユーザビリティの高いサービスを提供していると言えます。
2.ニーシングの製品特徴とコレクション照会
創業以来、冶金・鍛造技術を強みに、独自のジュエリーを製造してきたニーシング。現在はブライダルのみならず、日常に根付いたジュエリーも大人気コレクションとなっております。
ニーシングには、同社ならではの技術を生かした、特別な製品が数多く存在します。
例えば「ニーシング・シュパンリング」。1979年に開発されたニーシングならではの技術です。
普通、リングにセッティングされるダイヤモンド等の宝石は、爪によって支えられているものですよね。しかしながらニーシングが誇るニーシング・シュパンリングでは、金属の張力(テンション)によって宝石を支えており、さながら美しい石が浮いているかのように魅せているのです。その為最初はこのシュパンリングは 「テンションリング」 というネーミングでした。
爪などを使わずに地金のテンション(張力・圧力)のみでダイヤモンドがセッティングされ、
ダイヤモンドが宙に浮いているようなデザインを最初に見た時は大変驚いたのをよく覚えています。強すぎるテンションならばダイヤモンドは潰れて割れてしまいますし、弱ければダイヤモンドはセッティングから外れてしまう為、商品としての耐久性と美しさを兼ね備えた唯一無二のデザインである事は現在も変わっていません。
ニーシング・シュパンリングは、カラーバリエーションはもちろん、様々なフォルムや肉厚あるいは繊細なものまで、多岐に渡ってバリエーション展開がされております。例えば肉厚の「ナルシス」、バゲットカットダイヤモンドをセッティングした「バゲット」、シンプルで上品な「アンタレス」、優美な「ルシア」等です。これも、冶金・鍛造技術に秀でたニーシングならではのラインナップですね。
なお、ニーシング・シュパンリングは2000年にドイツの高等裁判所に美術品として認定され、著作権を獲得しており、美術館にも永久所蔵されるほどです。
現在はニーシング・シュパンリングをペンダントやピアスとしてもお楽しみ頂けます。
「アイリス」もニーシングを象徴する一大コレクションです。
これは1984年にリリースされたもので、純銀からゴールドへと流れるように色が遷移していく、不思議で楽しいコレクション。ウェディングリングでシンプルなラインとして展開されていますが、特別感に溢れており、人と違ったリングをお求めのカップルに最適です。
ウェディングリングではプラチナ×ゴールド等、二つの異なる貴金属を選択できるフュージョンや小さな切れ込みにダイヤモンドが覗く「フォンタナ」、ニーシングが最高傑作と評する「オーラ」、独創的な「アーモンド」等、素晴らしいラインナップをお楽しみ頂けます。
その他では1986年に発表され、美しいチェーンネックレスを楽しめる「コイル」、2017年にレッド・ドット・デザイン賞の「ベスト・オブ・ベスト」を受賞した、貴金属の輝きを存分に楽しめる「ミラージュ」。あるいは洗練された「ニーシング・コレット C」等、本当に様々ですので、ブライダルにせよデイリーユースにしろ、自分だけのお気に入りのニーシングを見つける楽しみがここにはあります。
3.ニーシングの価格帯と買取情報
ニーシングは上質な貴金属や貴石を使い、また製造には手作業でのみ担うところが決して少なくありません。そのため製造コストや手間はきわめて高く、その分価格も高くなる傾向にあります。
素材によって価格は異なりますが、例えばフラグシップのニーシング・シュパンリングであれば20万円台〜70万円台がだいたいのプライスレンジです。さらにハイエンドとなると、200万円を大きく超えることもあります。ジュエリーラインであれば10万円以下のラインナップもありますが、上質かつラグジュアリーであることは間違いありません。
もっとも高価格帯ということは、その分資産価値がある、ということにも繋がります。
上質な素材を使っているということ。また市場でのニーシングの価値が高いということも相まって、積極的に買取を行う店舗は少なくないでしょう。当店グリーバーも、そんな店舗の一つです。ニーシングは再販もしやすいため、状態や製品にもよりますが、数万円〜50万円程度のお買取りをさせて頂いた実績があります。
ぜひ使っていないニーシングがございましたら、当店グリーバーにお持ち込み下さいませ。
3.まとめ
ニーシングについてご紹介いたしました。
ニーシングはドイツ西部のフレーデンで1873年に創業された、歴史あるジュエラーということ。冶金・鍛造技術には一家言持っており、ニーシング・シュパンリングや多種多様なカラーゴールド等、ニーシングならではのラインナップを展開していること。再販価格も高い傾向にあり、当店グリーバーでもニーシングの売買に力を入れていることをお伝えできたでしょうか。
美しくもモダンなニーシング、特別なジュエリーをお探しの方に強くお勧めできるブランドです。