種類別に見る金の使い道。純度や買取価格はどう変わる?
「富や権力の象徴」とも言われるように、高額なジュエリーアクセサリーや投資対象に使われるイメージが強い金。実は意外な用途が多数あることをご存知でしょうか。
例えば今お持ちの携帯電話やパソコンといった電子機器、治療剤などの医療、肌パックを始めとした美容製品など、あらゆる産業で幅広く使われていることが見てとれます。
これは、金が持つ特性に大きく関係します。
また、金はいくつかの種類に分けることができ、それによって用途も異なってきます。
この記事では、金の種類や基本的な特性,および種類別に適した用途などを解説いたします。
1. 金の特性
金のイメージを聞いた時、「輝いている」「高額」といったものが多いでしょう。
実際に金製のアクセサリーや腕時計をお使いの方は、「錆びない」「金属アレルギーを起こさない」「傷つきやすい」といった感想をお持ちかもしれません。
これらは全て金の特性をよく表しています。
しかしながら、他の貴金属にはない金ならではの性質はまだまだあります。
そんな金の特性をご紹介いたします。
金は、光の中の青だけを吸収し、その他の色は反射します。
そのため独特の金色の輝きを放ちます。
金は最も薄く伸ばせる金属です。
1グラムで約3000メートルも長く、そして数平方メートルまで広げることが可能です。
加工・再加工のしやすさに繋がります。
金は他の金属と合金しやすい性質があります。
現在製品として販売される金には何らかの割り金が施されています。
これによって硬度を上げたり、色によるバリエーションをつけたりすることが可能です。
熱や電気をよく通す性質を持ちます。
金属の錆びは、金属表面の不安定な原子が水や酸素と結びつき、腐食(酸化還元反応)することによって引き起こされます。
金はこの酸化を起こしづらい性質を持つため、はるか昔に採掘されたものでも錆びることはほとんどありません。
なお、この性質はプラチナにも言えることです。
前述の「錆びない」で酸化しないことをお伝えしましたが、金はそもそも他元素と化合しづらい性質があります。
そのため金属アレルギーを誘発しづらいと言われています(金属アレルギーは人体の微量な元素と金属元素が結びつこうとした時、その該当抗原を身体が押し出そうとした結果の現象なため)。
また、元素と結びつかないため合金したとしても金の結晶構造は保たれます。
前述のように酸素はもちろん、熱や湿気に影響されません。
よって経年劣化しないだけでなく、加工すれば何度でもリサイクルすることが可能です。
金は表面に酸化膜がないため、他金属(導体)と接触させ続けても抵抗値を変えることがありません。
比重とは、1ccの水(4℃が標準と言われている)と、それと同じ体積を占める物質の重量比のこと。
比重が1より小さいと水に浮き、大きいと沈みます。
プラチナに次いで金の比重は大きいため、自然界で沈殿しやすい傾向にあります。
2. 金の特性をフル活用する使い道とは
冒頭でも述べたように、金は投資や装飾品以外にも様々な分野で用いられています。
世界の金需要を見た時、やはり多くは宝飾品、次いで個人投資が多くなりますが、実は「産業用途」が決して低くありません。
ワールドゴールドカウンシル(WGC。世界中の金鉱山会社によって金市場育成などを目指す団体)が発表した2018年世界全体の金需給では、4345.1トンの需要に対し工業用途では334.6トンでした。
ちなみに宝飾品は2200トン、投資需要は1159.1トンと言います。
近年の金市場の拡大と一緒に爆上げしている、というわけではありませんが、長年安定した需要を誇っていることは事実です。
金のように高額なものを一体どこに使うのか。
最も代表的なものは携帯電話やパソコンなどの電子機器における部品です。
主に回路基板やチップに使用されておりますが、これは金の特性をフル活用した結果となります。
まず、展延性によってマイクロメートルといったサイズの小型基板にも対応できるほど薄く延ばすことが可能なため。
部品にメッキ塗装されることが多いのですが、これくらいの量であれば、いくら金が高額と言えど、そこまでのコストはかからず、むしろパフォーマンスを考慮すればお得なくらいでしょう。
また、電気をよく通すため信号をキャッチしやすいことも大きいです。
さらに経年を経ても酸化しづらく抵抗値が変わりづらいため、末永く精度や信頼性の良さを保つことができるのです。
併せて、金は焼成すればまた金だけを取り出し、再生が可能なため壊れた電子機器から金を取り出し、またリサイクルすることも可能です。
ちなみに2020年の東京オリンピックに向けたプロジェクトの一環として「都市鉱山」というコンセプトのもと、家庭に眠る電子機器や家電製品から金属を抽出し、メダルの材料にする、という取り組みが行われています。
金が私たちの生活に、長きにわたって与えてくれるメリットの大きさがよくわかりますね(ただし金メダルはほとんど銀で、金はメッキにのみ使用)。
また、最新医療でも幅広い使用が見られます。
歯科治療における金歯なんかは昔から有名ですが、これは人体への影響が少ない金属であるため。
そのため金をペースト状にしたリウマチ治療剤や抗がん剤研究がさかんに行われており、今後ますます医療分野で金需要は高まるでしょう。
さらには宇宙・航空分野など、過酷な状況下の用途もさかんです。
宇宙服のバイザーや人工衛星の保護剤、航空機の窓の防氷・防雲ヒーターとして、金を極薄に引き延ばしたものを採用しています。
このように、金は思わぬ、しかも私たちにとって身近なところで活躍しており、なくてはならない存在と言えます。
3. 金の使い道は種類によって異なるの?
金はいくつかの種類に分類することができます。
この分類によって、用途はどのように変わってくるのでしょうか。
それを知るには、まず金の種類を分ける「含有量」について理解しなくてはなりません。
① 金の含有量
金の特性のうち、「展延性」と「合金しやすさ」により、金は割り金を配合して使用することがほとんどです。
加工しやすくしたり強度維持をしたり、また価格を抑えることに繋がります。
使用される割り金は銀や銅、パラジウムやニッケルなどが挙げられます。
当然ですが、金の含有量が高いものほど高価値です。
ただし、プラチナやパラジウムなど、割り金の種類によっては金にプラスした価値を持つこととなります。
なお、金は再び焼成し融解させることにより、他金属から抽出することができます。
② 金の純度・品位
一つの金製品に入っている金の含有量を「純度」「品位」と示し、単位はkarat(カラット)を用います。
24分率が適用され、K24が純金で金純度99.99%、K22が金純度91.7%、K18金純度75.0%・・・といったように表記されます。
純度の表示は大変重要です。その製品の価値に大きく影響するためです。
そのため、製品にカラット表記がなされる他、各国で証明記号(ホールマーク)などを持ち刻印されることがしばしばあります。
カラットと含有率の対照は以下の通りです。
③ 金の種類
合金は強度や加工のしやすさだけに影響しません。
と言うのも、割り金の種類によって色味を調節することができるためです。
通常の金と言えば文字通り金色ですが、市販のジュエリーアクセサリーには「イエローゴールド」「ピンクゴールド」などの種類があり、カラーリングが異なりますよね。
このように、金は合金することで種類にバリエーションをつけることができるのです。
例えば明るく華やかなイエローゴールドは主に銀と銅を配合します。
ピンクゴールドは銅や銀、他にパラジウムを少々。
その他にもレッドゴールド(赤金)やグリーンゴールド(青金)、ホワイトゴールドなどが挙げられます。
近年の宝飾品メーカーでは、自社独自の配合により斬新な色味を作り出すことに成功しております。
代表的な種類については、純度のカラット表記の後にWGやPGなどを明記されることもあります。
前述の通り、割り金は金の価値に影響はしませんが、もしブランドジュエリーなどでそのまま再販することになれば、その時々の人気の高い金の種類に高額買取査定が出ることはあります。
④ 金の純度の調べ方~重さと比重~
金のカラット表記やホールマークが製品にない場合、貴金属のみであれば自分自身で純度を調べることが可能です。
先ほど金の特性として比重が大きいとお話しましたが、これを利用します。
まずコップ、重量計、糸を用意して、お手持ちの金製品の重さを計測します。
次にコップに水を入れて重量計に乗せ、その状態を0グラムとして設定します。
その後金製品を糸でつるし水に浮かべると重量計の数字が増えます。コップの底に金製品がついてしまうと正確な重量がわかりませんので、気をつけましょう。
「完全に水に浸かり浮いた状態」とする必要があります。
最初に測った金製品の重量÷増加した水の重量が比重となります。
金の純度別の比重は大体以下の数値となります(単位:1ccあたりに対するg)。
K24:19.3
K20:16~17
K18:15~16
K14:13~14.5
K10:11.5~13
なぜこのような計測ができるかと言うと、やはりこれも金の特性が関係あります。
金は他元素と化合しづらいため、合金となっても金の結晶構造は守られ、結果として体積は変わらないためです。
ちなみにこれはジュエリーがセッティングされた商品では算出することができません。
その際は信頼できる買取店に持ち込みましょう。
なお、比重の際は便宜的にグラム表記となることが一般的ですが、国際的には金の単位はグラムではなくオンス(oz)を使用します。
正確にはトロイオンスで、貴金属や宝石の原石を軽量する際に用いられる単位です。
1オンスは31.1034768グラムにあたり、金地金(インゴットなど)の取引などで発表される国際価格は1トロイオンス/米ドル表記されます。
日本の国内価格では1グラム/日本円に修正されます。
⑤ 金の種類別に見る使い道とは
では、金の純度や色味など、種類別によって用途の違いはあるのでしょうか。
基本的に、「用途」への違いは明確にはあまりありません。
例えばK24の純金や軟らかすぎて装飾品には向きませんが、K18とK14の間で装飾品にするか別のものにするか、といった違いはないでしょう。
しかしながらある程度「この種類はコレがお勧め」「この種類であればこんな使い方」といった適性はあります。
種類ごとに代表的な用途をご紹介いたします。
■純金(K24)
他の金属で割らない純金がこれに当たります。
インゴットなどの金地金の他、金貨にも使用されます。
純金の金貨で有名なものはカナダのメイプルリーフでしょう。
もっぱら投資としての役割が強くなります。
■K22(金純度91.7%)
標準金とも呼ばれます。
純金同様に、軟らかすぎて装身具としてはアジアの一部地域の利用に留まっていましたが、近年ではその価値と純粋な金の輝きに近い光沢が評価され、取り入れられつつあります。
また、金貨としても利用される純度です。
イギリスやアメリカなどのものが有名です。
■K18(金純度75.0%)
「最も美しく加工できる金の品位」として、ジュエリー製品を中心に用いられているのがK18です。
お持ちのアクセサリーに刻印が見られる、といった方も多いでしょう。
この金純度を基準に、割り金でピンクゴールドやホワイトゴールドといったカラーゴールドを作ることが一般的です。
加工がしやすく硬度も高くなるため、実用にも適していると言えるでしょう。
高額な腕時計にもよく使用されます。
さらに、電子部品でも用いられることがあります。
■K14(金純度58.5%)
約半分が金以外の金属となるため輝きは弱まるものの、硬度があり日常での使用に適した実用性を誇るためジュエリーでよく取り入れられる純度です。
壊れづらく価格は安くなります。
銀が割り金の大きな部分を占めることが多く、あっさりした色味となります。
金属アレルギーリスクは高まることになります。
高価な文房具や楽器の一部での利用もしばしば見られますね。
■K10(金純度42%)
半分以上が別の金属となるため、金本来の輝きはさらに低くなります。
しかしながらK10程度までであれば、輝きは保たれる、とも言われています。
金属アレルギーリスクも高まりますが、硬度や傷つきづらさは強くなります。
プチプライスのジュエリーアクセサリーで使用が見られます。
■金メッキ
金メッキとは、メッキ溶液の中で他の金属に金を電着させる手法です。
「他の金属」であるため、金そのものはただ薄膜を張ることとなります。
用途としては、まずジュエリーでは金製品のような輝きを持たせること。また、酸化を防止することなどが挙げられます。
電子機器など工業用品でもよく用いられます。
酸化防止はもちろん、優秀な導体としても活躍しています。
メッキの「金純度」は様々で、電子機器の中には純金メッキが施されたものもあります。
しかしながら一般的にはニッケルや銀などを合金して硬度を上げたものが利用されます。
剥がれやすく傷つきやすいところがデメリットです。
同様の目的で金張り(GP)といった薄い金の板を熱で張り付ける手法も存在します。
非常に微量なため、金だけの抽出は難しくなります。
電子機器であれば、工業用貴金属の買取を行っている業者に持ち込めば行われますが、数キロ単位でしか受け付けてくれないことも。
メッキ処理されたジュエリーを売却する時は、「ブランド価値」や「セッティングされた貴石」などの方が評価されやすくなります。
メッキと金製品の見分け方としては、製品に「GP」「GF」の表記があれば前者となります。
また、メッキは磁石に反応するので、近づけてみても見分けるのに一役買ってくれるでしょう。
最後に、一覧表にまとめてみました!
純度 | 特徴 | 使い道 |
---|---|---|
K24(純金) | 硬度は低い | インゴット,金貨 |
K22(標準金) | 硬度は低い | 金貨,装身具 |
K18 | 最も美しく加工できるとされる | 装身具,電子部品 |
K14 | 硬度は高い。金の輝きは低下する | 実用性重視の装身具など |
K10 | 硬度は高い。金の輝きは低い | 実用性重視の装身具など |
金メッキ | 他金属に金を張ったもの。資産価値は低い | 装身具,電子部品など |
4. 金の買取価格の算出方法
最後に、金の買取価格の算出方法をご紹介いたします。
金無垢のジュエリーはジュエリー専門の買取店で鑑定士に買取価格を査定してもらうこととなります。その際、ブランド価値やセッティングされた貴石の価値が加味されることがあるでしょう。
電子部品だったり、再販はできない状態の喜平ネックレスだったりした場合はちょっと異なります。
しかしながら、ジュエリーよりも個人で算出しやすいでしょう。
なぜなら、前述のように、金はリサイクル可能な資源であるため。焼成して金だけを取り出すことができるので、お持ちの製品に含まれる金の重量が買取価格となるのです。
では、当店グリーバーの2019年2月某日の金の買取価格を例にとって、算出方法をご説明いたします。
例えばお持ちの喜平ネックレスが純度K18、50gであった場合。
K18の1gあたりの買取価格が3,733円の日に価格を算出するには、
3,733円×50g(喜平ネックレスの重さ)の計算式に当てはめます。
つまり、186,650円でお買取り、ということになります。
ここで気をつけてほしいのが、当店のK18の買取価格は日本一高いということ。
繰り返しになりますが、買取店が公表している買取価格は、お店の手数料が上乗せされているので、含まれる金素材=買い取ってもらえる価格とはなりません。
そのため、買取店によっては上記より大幅に査定額が下がってしまう可能性があるのです。
当店グは、国内最大手のメーカーに直接貴金属を提供している関係で、高値売却・低コストでの仕入れを実現しております。そのため、余った分をお客様に還元できているのです。
絶対に当店に持ち込んでほしい、とは言いませんが、せっかくなら高額買取してもらえるお店を選ぶことをお勧めいたします。
無料で査定いたしますので、お持ち込みだけでもどうぞ!
コインや喜平ネックレス、ゆがんだリングなどはもちろん金歯、ピアスの山、宝石の取れたジュエリーなど、幅広くお買取りさせていただいております。
5. まとめ
金の意外な使い道や、種類別に適した用途などをご紹介いたしました。
金はジュエリーや投資以外に、産業用途で幅広く使われていること。それらは全て金の特性をフルに活用した結果であること。また、種類別に適した用途が存在します。
当店グリーバーでは、金の積極的な高価買取を随時行っております。
「これ、売れるの?」そんな風に迷った時でも、ぜひ一度ご相談ください。