近年ますます、アンティークジュエリー市場が活気づいています。
アンティークならではの味わい。現代にはない製法で実現した意匠。一点ものとしての魅力。アンティークジュエリーならではの歴史的ストーリー・・・その魅力を挙げ始めるとキリがありません。
そんな時代だからこそ、今アンティークジュエリーのご売却は大変お勧めです。ニーズが高まっているので、買取に積極的なお店も増えてまいりました。
アンティークジュエリーと言ってもピンキリですので、全ての品が数万円、数十万円するわけではありませんが、ガラクタだと思っていたら思わぬ高額査定が出て、臨時収入が入った!なんて方もいらっしゃいます。普通のジュエリーであれば古かったり経年劣化が激しかったりするとそれ相応の買取額ですが、アンティークジュエリーには思ってもみなかったサプライズの可能性があるのが嬉しいところ。
でも、アンティークジュエリーの売却にはコツがあり、ここを抑えておかないと適正価格が出ない可能性があります。
そこでこの記事では、アンティークジュエリーを高く売る4個のコツを、ジュエリー買取店のスタッフがご紹介いたします!
1. アンティークジュエリーとは?
そもそもアンティークジュエリーとは、いったいどのようなジュエリーを指しているのでしょうか。
① アンティークジュエリー(アンティーク)の定義
実は、この定義は明確ではありません。しかしながらアンティークとは、製造から100年以上が経過した個体を指すことが一般に広まっています。これは1934年から続くアメリカの通商関税法によって「製造された時点から100年を経過した手工芸品・工芸品・美術品」がアンティークと定義され、WTO(世界貿易機関)でもこの基準が用いられていることが関係しているのでしょう。
そもそもジュエリーの歴史は紀元前の古代までさかのぼります。かつては宗教や政治における権力者の力の象徴のような意味合いがあり、古代エジプト、メソポタミア、ギリシャ、中国など世界各地でその使用が認められてきました。遺跡などからは、非常に豪華絢爛な副葬品としてのジュエリーが出土していますね。
しかしながらこれらもアンティークジュエリーに含むかと言うと、そもそも流通していないということもありますが、違います。アンティークジュエリーと言った場合には、だいたい1900年代初期の西洋、特にイギリスやフランスで製造されたジュエリーを指すことが多くなります。
また、「100年」はあくまで目安であるため、1930年頃に製造されていたアール・デコ時代(詳細は後述)の個体もアンティークに分類されています。
一方100年経っていないものをエステートジュエリーとして区別することもあります。エステートとは英語のestate「財産,不動産」などが語源ですが、そこから転じて二次流通した品・中古品を指すようになりました。その他にも1970年代以降の製造品をヴィンテージジュエリーと言ったり、あまり値段がつかないような代物をジャンクやラビッシュなどと呼んだりすることもあります。
なお、アメリカでも1900年代頃から、さかんにジュエリー製造が行われましたが、アメリカらしい合理精神からかプラスティックや樹脂を使ったカジュアルなものが多く、コスチュームジュエリー(日本語で言うところのアクセサリー)としてアンティークジュエリーとは区別されることが多いです。
ただ、気を付けてほしいのが、「基準」は必ずしも重要ではない、ということです。
例えば1970年前後に製造されたヴィンテージ品でも、非常に高額で取引されるものもあります。例えばカルティエやブシュロンなど、歴史があり、今なお人気の高いブランドジュエリーが良い例でしょう。
そもそも、それがいつ製造されたか、よくわからないといった方もいらっしゃるでしょう。
大切なことは、「ガラクタ」とか「古くて誰も欲しがらない」と決めつけて二束三文で手放したり捨てたりせず、知識のある買取店に査定に出してみることです。
② アンティークジュエリーの種類
前述の通りアンティークジュエリーは、「100年以上が経過し、主にイギリスやフランスなど西洋で製造されたジュエリー」を指しますが、さらにその中でも時代によって四つに分類されます。
一つ目が、ジョージアン(ジョージア時代)。これはイギリスのジョージ一世が即位した1714年~1837年頃のことです。正直この時代の製品はほとんど流通しておらず、きわめて高い稀少性を誇ります。ジョージアン時代のジュエリーとわかれば、多くが高値となると言っていいでしょう。
なお、この頃はまだ世界各地で金脈が発見されていなかったため、貴金属はシルバーがメインでした。金は肌荒れ防止としてリングのインナーにしたり、繊細で緻密な金細工として活用したりといった使用がされていました。
二つ目はヴィクトリアン(ヴィクトリア時代)です。1837年~1901年までを指します。イギリス ヴィクトリア女王の治世であり「ヴィクトリア朝」に当たりますが、その在位期間は63年7か月と非常に長いため、ヴィクトリアンジュエリーはさらに初期・中期・後期に分けて論じられることもあります。
ヴィクトリアンは大英帝国の繁栄の時代でもあり、世界各地の植民地化が顕著でした。同時期にアメリカでゴールドラッシュが始まったことから金をたっぷり使った、華やかかつきらびやかなジュエリーが目立つようになります。また、産業革命によってイギリスの経済が発展し、貴族階級のみならず中産階級が誕生。ジュエリーのニーズが非常に高まったことから、宝石のカッティング技術など製法が大きく発展したことも大きな特徴です。なお、アンティークジュエリーでおなじみのカメオが流行ったのもヴィクトリアンが契機です。もともと古代ギリシャを中心に印章として始まったカメオですが、ヴィクトリア女王が身に着けたことで麗しいジュエリーとして昇華されました。
三つ目はエドワーディアン(エドワード時代)です。ヴィクトリア女王の息子・エドワード七世が即位した1901年~第一次世界大戦が勃発する1914年までを指します。エドワード七世が華美な装飾を好んだこともあり、ジュエリーもヴィクトリアン期を同じように大きく発展していきました。この時代はダイヤモンド、プラチナなどと言った、当時は新しかった素材の流通が増え、同時に製法が確立されていったことも大きな特徴です。
また、同時期(19世紀末~1914年まで)、フランスにおいては「ベル・エポック」(仏語で良き時代・美しき時代)という概念が流行します。フランスは1870年~1871年の普仏戦争(プロイセン国とフランス帝国の間で行われた戦争)で敗戦したことで、国全体に大きな衝撃が走ります。ナポレオン一世以来、自負してきた華やかかつ世界最強の軍備が破られ、自信喪失になっていたためです。しかしながら以後は戦争のない平和な時代が訪れており、同時期の産業革命と相まって、あらゆる芸術・文化が再び花開くこととなりました。そんなフランスの麗しい時代を指して、ベル・エポックと人々は呼んだのです。いくつかの様式が出現するのですが、ジュエリー界で最も高名なのはアール・ヌーボーです。これはフランス語で「新しい芸術」を意味しており、優美な曲線を活かした瀟洒なスタイルとなります。ジュエリーでもエレガンスが全面に押し出された美しい作品はとても定評があります。また、動植物や花といった自然の有機物を積極的にモチーフとしたことも特徴です。アール・ヌーボーは、1920年頃までフランスを中心に発展していきました。
四つ目がアール・デコです。1910年代~1930年代の時代を指します。こちらもフランスを中心に開花しました。これはアール・ヌーボーと同様に装飾様式を指す用語ですが、今なお多くのデザインに影響を与えていることから、一つの時代の分類として語られてきました。アール・デコとは「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」の略称に由来し、パリで1925年に開かれた同名の博覧会で世界中に普及していきます。そのため1925年様式と呼ばれることもあります。
特徴はアール・ヌーボーとは対照的に、直線や幾何学模様を意匠のメインとしたこと。これは、産業革命によって大量消費社会が到来し、従来の富裕層に向けた華美な装飾品よりも、シンプルで機能的なデザインが好まれるようになったためです。ちなみにこのアールデコスタイルの先駆はカルティエの腕時計「タンク」と言われています。
アール・デコは世界恐慌や第二次世界大戦など社会情勢の不安定化で一時衰退しますが、1960年代頃から再びデザインとして注目を浴びるようになりました。
なお、アール・デコ時代のアンティークジュエリーはシンプルだからと言って、そっけないわけではありません。むしろダイヤモンドや金・プラチナが豊富に出回り、かつ製法の研究も非常に盛んであったため、これまでにはなかった美しい輝きを放つ製品も生み出されました。また、色石なども積極的に使われ、彩り豊かなジュエリーも多々見られます。
ただし、これらはあくまで分類であって、時代によってはジュエリーのテイストが前後していることもあります。
③ なぜアンティークジュエリーは今なお人気があるのか?
ここまでご紹介してきたアンティークジュエリーですが、正直素材の質や製法は現代の評価基準で見ると、物足りない部分も出てきます。例えばダイヤモンドのカッティング。現在ブリリアントカットがダイヤモンドの輝きを最も引き出すと言われていますが、この製法が正式に開発されたのは1919年です。それ以前のカットにもブリリアントカットの原型はありましたが、ファセットが少なく、ブリリアントカットほど光を上手に取り込みません。さらに時代をさかのぼると「ローズカット」と呼ばれるカッティングが主流で、これは中世に生み出された簡易的なカッティングでした。クラリティやカラーなども、緻密な評価基準や装備のなかったアンティーク時代は、現代のものと比べるとどうしても見劣りしてしまうでしょう。
しかしながらこれは現代の「評価基準」でみると、です。アンティークジュエリーの魅力は、何よりも現代にはない意匠・美しさにあります。そのためアンティークラフカットやローズカットのダイヤモンドも楚々とした清楚な輝きで、ギラギラとファイヤが目に飛び込む現代のダイヤモンドよりこちらの方が好み、という方は多くいらっしゃいます。また現代では数少なくなってしまったジュエリー職人の卓越した技術や温かみを確かに感じる事ができます。
現代はファッション業界全体が「クラシック回帰」に傾向にあり、アンティークジュエリー派の声はますます高まっている、とは、冒頭で述べた通りです。
また、様々な時代を経験してきたという、ジュエリーが持つストーリーに惹かれる方も少なくありません。
例えば第一次世界大戦直後に流行したアール・デコ。これは大量消費社会の産物とかつて捉えられていることもありましたが、実は男性が戦地に赴き、母国では女性が社会進出するようになった、という時代背景も関係しています。着飾るジュエリーから、アクティブに活躍する時にも身に着けていられるジュエリーへと変遷していった時代をアール・デコの意匠から感じます。
また、有名な王族が身に着けていた、などの逸話があるジュエリーは、証明できればそれだけで何十万・何百万円などと言う値段が付けられることもありますね。
こういった時代そのものを楽しめるとあって、アンティークジュエリーは古いものほど高額査定になるという、普通のジュエリーの真逆のような価値を歩んでいっています。
さらに言うと、アンティークジュエリーは量産品ではないため(いくらアール・デコが大量消費社会の象徴とは言え、その製造数には限度があった)、一点ものとしての味わいがあります。さらにこの味わいは、資産という側面で考えた時、稀少価値の高さにも繋がります。事実、ジョージアン期のジュエリーはめったに流通しないため、一度出回ると国際オークションなどに出展されることもしばしばです。
このように、アンティークジュエリーならではの魅力というのは、決して現行品では出せない類のものであり、時代を経てなお人々の心をつかんではなさないのです。
2. アンティークジュエリーの買取査定ポイント
アンティークジュエリーは個体の稀少性、意匠、コンディションなど、一つ一つが全く異なるため、一概に相場を言うことはできません。しかしながらプロの鑑定士が見ている査定ポイントはある程度共通しています。
詳しくご紹介いたします。
① 通常のジュエリーとの違いを知ろう
通常のジュエリーは、素材の価値・ブランド・デザイナーなど、ある程度の基準のもとで査定が行われます。
しかしながらアンティークジュエリーはかなりあいまい。
また、通常のジュエリーは新しく使用感が少ないほど高額査定となりますが、アンティークジュエリーは経年があるほど高い価値を持つことがあります。もちろんコンディションが良いに越したことはありませんが、使用感が逆にオリジナルのコンディションを大切にされている、と捉えられることもあります。
通常のジュエリーとは査定ポイントが違う。ご売却される場合はぜひこのことを念頭に置いて、ボロボロだったり古臭かったりする製品でも、ぜひ持ち込んでみてくださいね。
② ポイントは稀少性・ブランド・コンディション
アンティークジュエリーの査定ポイントは、「稀少性」「ブランド」「コンディション」の三点が大きい部分を占めます。
まず稀少性。これは多くのアンティークジュエリーに言えることなのですが、現在は廃れた製法が採られていたり、今はないデザインだったりすると「今後流通しないかも」ということで一気に価値が高まります。
最近では「クラシック回帰」の一環で、過去の作品のリバイバルが多くのブランドでラインナップされていますが、やはり当時をそのままそっくり模倣した、というものではないため、アンティークジュエリーとはまた違ったジャンルと捉えられています。
また、人気ブランドであることは大変重要です。これは現行品にも言えることですが、カルティエやモーブッサン、メレリオ ディ メレーなどの有名ブランドのアンティークジュエリーともなると、需要も格段に高くなり高額査定が出やすくなります。
なお、先ほど「経年があるほど高額」と記しましたが、ひとくちにコンディションと言っても、どす黒く変色してしまっていたり、再販が不可能なほど変形してしまったりした場合は減額の対象となってしまいます。使っていないジュエリーでも、大切に正しく保管してください。
ちなみにアンティークジュエリーは鑑定書などの付属品が付いていることはほとんどありませんが、もしまだ保存してある方はぜひ一緒にお持ち込みください。付加価値として査定にプラスされる可能性が高いです。
③ 基本的には需要で決まる
アンティークジュエリーは一つ一つが味わい深いものですが、基本的には需要が高いか、つまり人気があるかどうかで価格が決定します。現行品よりもその傾向が強いでしょう。
例えば世界中の多くのセレブたちが欲しがる一点ものであれば、数百万円、時には数千万円の価値がつくこともあります。一方であまり知られておらず、まだ需要が集まっていない製品だと査定額は低めになります。海外に目を向けてお話をしておりましたが、創業1893年の歴史を誇る日本のジュエリーメーカーMIKIMOTO(ミキモト)のアンティークジュエリーも大変希少ですし価値があります。
現在はアンティークが一つのブームになっています。そのためご売却がしやすい時期であることは間違いありません。
3. アンティークジュエリーを高く売る4個のコツ
最後に、できるだけお持ちのアンティークジュエリーを高く売るために!そのコツをご紹介いたします。
① とりあえず査定に出そう!
「ちょっと変色しているけど、売れるのかな?」「どうせごみ同然なんじゃないの?」そんな風に思ってなかなか買取店に足を踏み出せない方もいらっしゃるかもしれませんが、査定に出してみないと価値はわかりません。いくらアンティークジュエリーが時代を経るごとに価値を持つとは言っても、きちんと保管されずに箪笥の奥に眠りっぱなしでは、コンディションは落ちていくばかりです。
無料査定は、LINE査定などと言った、コストも手間もかからないサービスを用意している買取店に、ぜひ一度査定に出してみましょう。
なお、査定結果によっては手数料が発生したり、キャンセル料金があったりするお店もあるので、事前にご確認ください。
② アンティークジュエリーにノウハウのある買取店に査定に出そう
アンティークジュエリーは、知識のない方々から見るとガラクタのようなものです。下手をしたら時代も確認されず、素材の価値だけ判断して査定⇒鋳つぶしてリサイクル。なんて悲しいことが起こるかもしれません。
せっかく長い時を経て手元にあるアンティークジュエリー。きちんと知識とノウハウがあるお店に売却しましょう。
アンティークジュエリーの買取実績がある、または買取推奨しているお店は、その品の流通ルートをしっかり確保している可能性が高いです。再販が自分たちでできるため、「売れる」と自信を持って査定をしてくれるので、適正価格を出してくれるでしょう。
③ 複数店舗に査定に持ち込もう
アンティークジュエリーは現行品と比べて、各段に査定額の差が出やすいジャンルです。
それはお店の鑑定士の腕やノウハウだけではなく、「どこを評価するか」「どういったアンティークジュエリーが得意か」によって変わってくるため。
ものによっては数万~数十万円の差が出ることもあります。
アンティークジュエリーの査定は複数店舗に出し、比較検討するようにしましょう。
④ アンティークジュエリーの保管や取扱には注意
アンティークジュエリーは経年によって石の爪留めがゆるんでいたり、ネックレスの糸が切れやすくなっていたりする可能性があります。保管や取扱には十分に注意しましょう。
また、査定前にお手入れをしてキレイにすることは大切ですが、ゴシゴシこすったり、洗剤につけたりすることは避けます。できればジュエリー専用のやわらかいクロスでからぶきするのに留めておきましょう。
4. まとめ
アンティークジュエリーのご売却を検討している方々に向けて、アンティークジュエリーとはどういったものか。また、査定ポイントや高額査定が出るコツをご紹介いたしました。
繰り返しになりますが、アンティークジュエリーを箪笥に眠らせたまま放置しておくことはもったいないです。もしこれから使う予定がないのであれば、ぜひ一度査定にだけでもお持ち込みください!
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